満面の笑みで両肩を掴み、「どうぞどうぞ!」と、先輩の前に差し出した月香ちゃん。
細められた目が輝いている。
「私、先に戻ってるね!」
「わかった……」
「ごめんね。ありがとう」
バイバーイと手を振って去っていった月香ちゃんを見送り、再び中庭へ。
「お話って、何ですか?」
日陰になっているベンチに腰かけて、左隣にいる彼に問いかけた。
「雷夜と昨日相談したんだけど、来年度の部長と副部長を誰にしようかって話してて。それで、市瀬さんはどうかなと思って」
「えええ⁉」
17歳3日目。
いきなり部活のリーダーに推薦され、目を丸くした。
「私でいいんですか……?」
「うん。市瀬さんなら知識も豊富だし、後輩の指導も上手くできそうだから」
確かに勉強はしてるから、他の人よりも少し知識はあるかもしれない。
だけど、上手く指導なんてできるかな。
1度、大勢の前で大失敗してるし……。
「まだ確定じゃないし、強制でもないけど、考えてくれたら嬉しいな」
「……わかりました」



