「気になるなら、直接聞いてみるのはどう?」

「んー……気まずくならないかな。笑い飛ばしてくれるならいいけど、そういうタイプに見えないからさ」

「あー、それもそうだね」



雲間から日が出てきたので、教室に戻ることに。


毎日話している月香ちゃんでさえも、同じような答えか……。

今朝も普段通りの声だったし、あれは単に、驚きと時間帯のせいだったのかな。



「市瀬さーん!」



校舎の中に入ろうとすると、後方から聞き馴染みのある声に呼ばれた。

付き合ってからはずっと名前呼びだったから、久しぶりに名字で呼ばれると、改めてドキッとしてしまう。



「一ノ瀬先輩、どうしたんですか?」



くるりと振り向き、平然を装って返答。

大きな声で呼んだのもあり、周りの女子生徒がチラチラ私達を見ている。



「ちょうど良かった。部活動のことで話したいことがあるんだけど、今、時間ある?」

「あー……」



声を伸ばしながらチラッと隣を見る。



「はいっ、大丈夫ですよ。今ちょうど話が終わって戻ろうとしてたので!」