猫目先輩の甘い眼差し



声と手を震わせながら、恐る恐る箱を取り出す。

開けてみると、そこには小粒の青い石が付いたネックレスが。


まさに、高くて手が出せないと諦めた、サファイアのネックレス──。



「どうして……」

「欲しそうに見てたから。あげるならこれが1番いいかなと思って」



確かに欲しいなとは思っていた。

だけど、プレゼントにねだるのはあまりにも高価だと、値段を見た途端すぐ諦めた。


買うなら大人になってから。バイトするなり、働くようになってから買おうと決めていた。


それなのに……まさか、交際して間もない先輩にもらうなんて。



「せっかくだから着けようか。ちょっと貸して」



終始余裕のある表情の先輩に、おとなしく箱を渡した。

邪魔にならないよう、髪の毛を両手でまとめる。



「あの、このお金は一体どこから出たんですか? 先輩、バイトしてないですよね?」

「今はね。今年の3月まではしてたんだよ」



「バイク用の資金のために」と、ためらうことなくあっさり返答。

免許を取ると決めた1年の頃から、約2年間、バイトに励んでいたのだそう。