「俺のオススメを詰め込んだ、和菓子セットです」
「もしかして、バイト先の?」
「うん。今月出たばかりの新商品も入れといたから、家族みんなで食べて」
「ありがとう……」
小さな声でお礼を言い、紙袋を受け取った。
わっ、結構厚みがある。これはしっかりした箱に入っていそう。
ライバル(?)相手に、ここまで親切にしてくれるなんて、普通ならなかなかできない。
やっぱり私の考えすぎなのかな……。
始業式、風紀検査、進路アンケートが行われ、午前中で学校が終了した。
昇降口に向かう生徒達とすれ違うように廊下を歩き、人気のない校舎裏へ。
零士先輩に告白されたあの場所へと向かう。
「……まだ来てないな」
誰もいないのを確認すると、バッグから鏡とヘアブラシを取り出して身だしなみを整える。
17歳になって初めて先輩と会うんだ。少しでも大人っぽくなった姿を見せたい。
まずは髪の毛をとかし、顔周りに汚れがないかを念入りにチェック。
そして次に、首元のネクタイを整えて。
最後に、香りつきのリップクリームを塗った。



