ようやく目が合い、ホッと胸を撫で下ろした。
良かった。それなら金銭的にも安心だ。
「別に、食べたことに対しては怒ってなくて。その……俺が先に奢りたかったのになぁって」
「えっ」
お、奢りたかった……?
『勝手に食べさせないでよ』って、お昼ご飯が入らなくなるからじゃなくて、「勝手に奢るなよ」って意味だったの⁉
「すみません! どうしてもお詫びしないと気が済まないと言われてしまいまして……」
「うん。それはわかってるから大丈夫。ただ……唐揚げってのがちょっと……」
不満そうにブツブツ呟く零士先輩。
どうやら、食べたことより、食べた物が気に入らなかった様子。
まさか、何か問題があるの……?
でも、すごく美味しかったんだけどな。朝日先輩もイチ推しだって言ってたし。
唐揚げの味と、ファミレスで食べる料理の味の相性が合わないとか……?
「まぁいいや。人多くなる前に行こうか」
「は、はいっ」
詳しく聞こうとしたら、話を切り上げられてしまった。
まぁいいやなんて、絶対思ってないよね。
だって、珍しく声張り上げてたんだもん。
これからデートなのに、楽しめるか心配だな……。



