猫目先輩の甘い眼差し



「まぁ、気持ちはわかるから、そこは許すとして」

「ありがとうございます!」

「その手に持ってるのは何?」



一瞬わかってくれたのかと思いきや。

冷静な声色で、朝日先輩の手元を指差した。


それはまさに、先程私がゴミ箱に捨てたのと同じ、空になった容器。



「何か食べたの?」

「うん! 色々と迷惑かけたお詫びに、唐揚げをごちそうしたの! ね! 市瀬ちゃん!」

「はいっ。それで少し遅くなってしまいました」



「すみません」と、自分からも改めて謝罪したのだけど……。



「唐揚げって……嘘だろ。なんでよりによって……」



長い溜め息をつきながら、零士先輩はガックリ肩を落とした。

も、もしかして、またやらかしちゃった……⁉



「困るよ朝日さん! お詫びとはいえ、勝手に食べさせないでよ!」

「ええっ! ごめんっ! この後何か食べに行く予定だった?」

「…………」



再び溜め息をつき、無言で頭を抱えている。

まだどこに行くかは教えられてないけど、この反応は多分図星だ。


どうしよう。私、なんてことを……っ。