口をへの字にする先輩の横顔を見つめる。
クラスは違うけど、10年以上の付き合い。
ここまでくると、お互いの性格や思考パターンを熟知しているだろうし、何かわかるかなと思った。
「進路相談はあり得そう。前に琳子んち行った時、学校のパンフレットが山積みになってたの見たから」
「2ヶ月くらい前だけどな」と付け足した目黒先輩。
家に遊びに行くほど仲良しなんだ。2ヶ月前ならGWの時期かな?
「でも、ショッピングモールに行った理由まではわかんない。相談なら別の場所でもできるのに。結局動物見に行くんなら、俺も誘ってくれりゃ良かったのによ」
「言われてみればそうですね……」
動物園を断って、ペットショップを選んだ。
夏場だから、外を歩きたくなかったのかもしれない。もしくは、犬と触れ合いたかったのかもしれない。
でもそれなら、一声かけても良かったはず。
目黒先輩だって、犬愛が強いだけで他の動物が嫌いなわけじゃない。
動物園に行きたがっていた先輩の気持ちを考えて、あえて言わなかったのかな。



