「さ、行こっか」
「えっ、は、はいっ」
呆然とする彼らをチラチラ見ながら、目黒先輩と2人で部室を後にした。
い、いいのかな……。
あれじゃ、現場見たって言ってるようなもんじゃない?
今はいいけど、この後どう説明するんだろう……。
肩を抱かれたまま、以前先輩達のケンカに巻き込まれた近くの階段にやってきた。
「いきなりごめんね。馴れ馴れしかったよね」
「いえ……少し。でも、ありがとうございました。助かりました」
体を離してペコッと頭を下げると、「わぁ、正直ぃ」と笑われた。
今まで男の人に肩を組まれたことがなかったから、最初はちょっとビックリしたけれど。
私の気持ちを汲み取って、あの場から助けようとしてくれたんだよね。
「さすが副部長。優しいですね」
「ありがとう。でもそこは会長って言ってほしいな」
「……さすが会長。優しいですね」
「えへへへへ。ありがとう」
おねだりを聞いて言い直すと、嬉しそうに口元が緩んだ。



