「つーか、俺は今日、たけおの動画を見せるって約束してるんだよ」
「はぁ⁉ 聞いてないんだけど⁉」
「当たり前だろ。誰にも話してねーんだから。いちいちお前に伝える必要ある?」
「なっ……!」
冷静に返す目黒先輩に、朝日先輩の苛立ちが強くなっていく。
約束はしていないけど、たけおくんの動画は今度見せてもらう話はしていたため、嘘ではない。
とはいえ、ここまでトゲのある言い方しなくても……。不満を漏らしていたのは知ってたけどさ。
また一ノ瀬先輩に叱られちゃうよ。
ケンカする2人に挟まれて、何もできずに俯いていると。
「なにその言い方! ってか、その手どけなさいよ! 馴れ馴れしい!」
「うるせーな。お互い様だろ? そっちだって、嬉しそうな顔して男のバイクに乗ってたくせに」
そう吐き捨てた瞬間、入口付近の空気がピキッと凍りついた。
もちろん、先輩達の目は縦に大きく開かれていて。
笹森くんも、そして樫尾くんまでもが、目を見開いたまま固まっている。
バイクにって……まさか目黒先輩もあの場に……⁉



