強い念を込めて目で訴えかけると、気づいた目黒先輩がコロッと表情を変えて、こっちに駆け寄ってきてくれた。
「良かった。こないだ具合悪そうだったから心配してたんだよー。もう大丈夫なの?」
「はいっ。ご心配をかけてすみません」
「いいっていいって!」
表情で心の中を読み取ったのか、すぐさま間に入り、朝日先輩の手を放してくれた。
助かった……と思いきや。
「それよりさ! こないだ言ってたたけおの動画、昨日撮ってきたから見せるよ! ささっ、こっちこっち」
まるで朝日先輩と一ノ瀬先輩から距離を離すかのように、腕を取った目黒先輩。
ちょ、ちょっと待って。
腕だけならまだしも、どうして肩にまで手を回すの? 仲良しアピール?
事情を知っている樫尾くん以外、みんなビックリしてるんだけど……。
「ちょっと雷夜っ、勝手に連れてかないでよ。今私が話してたのに」
「はぁ? 知らねぇよ、俺だって今来たばかりなんだから」
案の定、朝日先輩が口を挟んだ。
そりゃそうだ。いきなり話も聞かずにズカズカと入ってきたんだから。怒らないわけがない。



