「まだ人少ないし、他の子達が来るまで2人で話そ! 昨日撮ったばかりの動画があるの!」
「こっちにいきましょ!」とガシッと腕を掴まれた。
どうしよう。捕まってしまった。
この反応を見る限り、尾行してたことに気づいてなさそうだけど……内心疑っているかもしれない。
だってなんとなく──いつもに比べて、目の奥がギラついているように見えるから。
掴んでいる手も、逃がすまいと言わんばかりに力が込められている気がして……。
「ささっ、早く早くっ」
「っ……」
勢いに呑まれ、思わず席を立ってしまった。
あぁ、追及されてしまう。
観念したその時。
──ガラガラッ。
「失礼しまーす。あれっ、みんなお揃いで。どうした? こんなとこで」
入口付近で固まっている私達を不思議そうに見る目黒先輩。
やっと仲間が来てくれた。これで2人きりじゃなくなった。
先輩、助けてください……!
「あ、市瀬さん! 来てたんだ!」



