ガタッと席を立って駆け寄っていった笹森くん。
今、1番顔を合わせづらい人達が部室に入ってきた。
しまった……。せめてもう1つ奥に座るべきだったかも。
後悔したその直後。
「あ! 市瀬ちゃん!」
「っ、お疲れ様です……」
朝日先輩が私を見つけてキラッと瞳を輝かせた。
近くにいる一ノ瀬先輩達を押しのけて、真っ直ぐ私のところへ。
「こないだのユキちゃんの写真、ありがとね! チョー可愛かった!」
「いえ……。先輩こそ。たくさん写真をありがとうございました」
目が合った瞬間、心臓が嫌な音を立てたのがわかった。
悟られないよう、必死に笑顔を作る。
「今日はどのグループにお邪魔する予定なの?」
「犬グループです」
「そうなの? やったぁ、一緒だ!」
ほんのり上気した顔と満面の笑み。
本当は猫グループに入る予定だったのだけど、一ノ瀬先輩の近くにいたくなくて、とっさに変更した。
しかし、今犬グループの人が朝日先輩しかいないことに気づき、再び後悔が襲う。
そして──。



