猫目先輩の甘い眼差し



「そんなに多いんですね……。単身赴任はなかったんですか?」

「うん。上2人以外にも弟がいて。5個下に。ただでさえ友達と離れて寂しいのに、家族とまで離れるのはつらいだろうから、みんなで着いていってた」



詳しく聞くと、お兄さんとお姉さんとも5つ離れていて、現在警察官の卵なんだそう。


親子揃ってかっこいいなぁ。
面倒見がいいのは弟さんがいるからだったのか。

バイクを贈るほどだから、1番下の弟さんのことも可愛がってたりして。

というか、お兄さんとお姉さん、双子だったんだ。


情報量の多さにより、頭の中がごちゃごちゃ。

まとめると、一ノ瀬家は家族みんな仲良しで、文武両道が多いようだ。



「だから、友達ができてもすぐ離れちゃって。高校生になるまで、雷夜と郁海以外に親しい人がいなかったんだよ」

「それで、人が多い黒金を……?」

「うん。部活も、将来の夢のために入ったんだけど、本当は友達が欲しくて入った。バイク同好会を作ったのも同じ理由。
家族仲はいいけど、みんな忙しかったから……寂しくて」



最後に呟かれた言葉に思いが凝縮されていて、胸がキュッと締めつけられた。


思い返せば、体験入学の時。

少し照れながらも、楽しそうに話していた。
帰り道も、親子揃ってバイクに乗ってて。


あれは動物に会えるワクワクで笑っていたというよりも、一緒に過ごせて嬉しかったから……?