ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

「もう大丈夫よ」

 微笑みかけられて、ハッとする。

「先生、逃げて! ここにいたら危ない!」

 余計なことを考えている暇なんてない。
 みんな殺されちゃう!

「この子は渡さないわ」

 右手を空高くかかげると、どこからか青い小鳥が飛んできて指に止まった。

 体の周りを飛び回りながら、またたく間に三上先生の姿が白髪頭の老婆となった。

「……せ、んせ?」

 どうなってるの?!
 今、たしかに三上先生だったのに。目の前にいるのは、全く知らないお婆さんだ。

「ふん、面白いねぇ。そち、白魔女か」

 フッと口角を上げて、優希ちゃんの姿をした黒ずくめが手のひらを空へ向ける。

 フゥーーッと長い息を吹きかけると、きらきらした粉雪のような結晶が現れて、一瞬にして私たちを包み込んだ。

 目が、前が見えない!

 もくもくとしたスモークが広がっている。ゴホゴホと咳き込んでいると、イリヤくんに抱き寄せられた。

 思わずテンパりそうになるけど、服に押し当てられた顔から、(けむり)を吸わないようにしてくれているのだと気付く。

「……あ、ありがとう」

 胸に埋もれたまま、小さくつぶやいた言葉が、聞こえていたのかは分からない。