ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 日は長くなって来たけど、そろそろ帰らないと。思ったより奥まで来ていたらしい。

 森を出たところは、いつもの景色とあまり変わらなかった。

 右手側に家らしき建物があるから、こっちの道へ行ったら降りれるかな。

「ここで何してる?」

 呼びかけられて振り向くと、薄暗い中にイリヤくんが立っていた。そのうしろには、隠れてこちらの様子を伺うミーナちゃんの姿が見える。

「……ジュリ?」
「家に帰ろうとしてて」

 チラッと視線を下げてみる。

「俺の妹。仲良くしてやってな」

 優しい笑みを浮かべて、ミーナちゃんの背中を押す。
 どことなく雰囲気が似ていると思っていたけど、2人は兄妹だったんだ。

 顔を赤らめたミーナちゃんは、イリヤくんの手を振り払って奥の道へと消えて行った。

 完全に嫌われちゃったかな。

 帰る道を聞こうとしたとき、どこからか寒気を感じる空気が流れてきた。静かに、氷のような風が辺りを包み込んでいく。

 植物たちに霜が付いてる。急になんだろう?

 キレイな夕焼け空は、一瞬にして暗黒の闇へと移り変わった。

 なんか、怖い。

「ジュリ!」

 名前を呼ぶ声がするけど、イリヤくんがどこにいるのか霧で見えない。足がすくんで、この場から動けなくなった。