ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

「ミーナちゃんと、もっと話してみたい」
「来るなっ! この森は我々の居住区だ。早く立ち去れ!」

 うなるように喉を鳴らしている。
 この子は、きっと。

「ハッ、その耳飾り……! どこで手に入れた?」

 耳元で光るピアスが、力をくれる気がする。

「大切な友達からもらったんだよ」
「……トモダチ」

 眉間にしわを寄せているけど、威嚇(いかく)するような体勢は消えていた。

 ゆっくりと近づくと、そのままミーナちゃんをギュッと抱き締める。

「キサマッ、何をするっ!」

 ガルルルルと、歯を食い縛るような音を立てて、私の背中を何度も叩く。
 それでもかまわないと、さらに腕の力を強めた。

「……あんたと彼は、共存して生きられない。私と、彼と同じように」

 胸がじわじわと熱くなる。
 声には出していないけど、ミーナちゃんの肩がひくひくと動いていた。

 きっとこの熱さは、あふれ出る涙のせい。

「私は怖くないよ。ミーナちゃんたちが、どんな部族だったとしても」

 ーー狼の子孫は何をするというわけでもなく、森へ(ほおむ)られるようになった。

 この子はきっと、その狼の子孫。

 獣のように喉を鳴らしてうなり、獣のような眼でにらむ。かつて狼に育てられた、狼少女のように。

 そっと体を離すと、ミーナちゃんの目が赤くなっていた。

「お前たち人間など、信じられるか!」

 そう叫びながら、小さな影は森の奥へと消えていった。