翌日、ルキくんは学校に来なかった。

 イリヤくんがどうなったのか、その方が気になるけど、やっぱりどうして欠席なのかも気になる。

「あー、黒羽くん? いつもの事だよ」

 まだ何も言わずとも、優希ちゃんはルキくんの席を見てつぶやいた。

 彼女の話によると、黒羽兄弟の全員が休んでいるらしい。家族旅行でもしてるのかな?

「天気良すぎると、あの人ら来ないんだよ。なぜか影楼(かげろう)先生まで休むから、ちょっと寂しいんだー」

 そういえば、いつも体育は見学しているし、よくフードのあるパーカーを着ている。暑くなって来ても、構わずだ。

「影楼先生も? ルキくんたちと、休みを合わせてるってこと?」

「さあ? 親戚なんじゃないかって噂する子もいるけど、実際のとこは知らない。みんな人間離れした見た目だしさ、日に当たれない理由でもあるんじゃない? 肌が弱いとかさー」

 日に当たれない……か。黒羽くんたちは、みんな肌がものすごく白い。思い返せば、影楼先生もそうだった。

 頬を触りながら、首をかしげる。

 何か重要なことを忘れている気がするけど、なんだろう。もやもやするだけで、思い出せない。

「樹里ちゃん、次移動教室だよ。早く行こう」
「あっ、うん! 待って」

 白川村(ここ)から出ていけと言われたことを忘れたの?
 ルキくんのことを考えるのは、もうやめよう。

 教科書とノートを抱えて、私は優希ちゃんのあとを追いかけた。