ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 何日か経って、少しずつではあるけれど、ここでの生活にも慣れてきた。
 相変わらずな白い視線と嫌がらせは続いているけど、お姉ちゃんを見習って気にしないようにしてる。

 教科書を破られた日には、変わりにその子のと交換して来たと、ケロッとした顔で言ってのけたのには驚いた。

 それにしても、今日の目覚めは最悪だった。「よそ者は出て行け」と怒鳴られるし、うなされてなかなか眠れなかった。

 教室へ入ろうとして、なにやらざわついていることに気付いた。クラスメイトが集まっているあたりには、私の席がある。

 群がる生徒の間を抜けて行くと、机の上に白い花が置かれていた。いつもロッカーの上に飾ってある百合の花だ。

「こんな事されたら、もう学校来れないよね」

 後ろの方で、そんなつぶやきが聞こえた。
 いくらなんでも、ひどい。

「あれー? 小嶺さん、生きてたのね。襲われて死んじゃったかと思ったぁ」

 ふふっと笑みを浮かべながら、芦屋さんが前へ出てくる。腕を組んで、してやったりな顔だ。

「追い出せなくて残念だったね」

 花のかびんをロッカーの上へ戻すと、私は平然として席へ着く。
 その態度が気に入らなかったのか、勢いよくバンッと机に手をついて、こちらを睨みつけた。ものすごい音に、一瞬で教室が静まる。

「あんた、バカにしてるでしょ!」
「そっちこそ、もういい加減にしてよ」
「うるさい! 全部、転校して来たあんたが悪いんだから!」

 叩かれたみたいに、長い爪がガリッと頬を切りつけた。

「……いたっ」

 ひりひりとした痛みが、じんわりと伝わってくる。そっと触れてみると、指先に血が付いた。