ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 パタパタとスカートをなびかせながら、丘の上を歩く。さすがに、もう誰の姿も見えない。この辺りに住んでいる人は、少ないらしい。よかった、と思いながら足を止める。

 森の入り口に来て、優希ちゃんの話を思い出した。

『で、こっからが肝心なんだけど、その悪魔はーー』

 お皿が割れて、途中で聞きそびれてしまったけど、あのあと何を言おうとしてたんだろう。
 たぶん、この森のことなんだよね。信じないにしても、なんだか気味が悪い。

 森の前を小走りで通り過ぎて、家に着くまでしばらく走り続けた。

 リビングに入る前に、洗面室の脱衣所でまだ乾ききっていない制服を脱ぐ。

 お姉ちゃんたちに知られたくないけど……くんっと匂いをかいで固まる。洗うわけにはいかないし、塩の匂い……どうしたら取れるだろう。

 リビングの方で、バタンッとドアの閉まる音がした。この慌ただしさは、お姉ちゃんだ。

 部屋着に着替えてから、こっそりとリビングへ入る。何かあったのか、お姉ちゃんがぐったりとソファーへ倒れ込んでいた。