ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 放課後になって、正門を通り抜けると芦屋さんが立っていた。待ち伏せでもしていたのか、私が行く方へ付いてくる。

 気付かないふりをして歩いていると、さらに足音は速くなっていく。

「白川村から出て行きなさいよ」

 こんなものは、耳をふさいでしまえばいい。無視していたら、あきて帰ってくれるだろう。

 でも、芦屋さんはしぶとく続けた。

「小嶺さんのせいで、また犠牲者が出たらどう責任とるつもり?」

 だんだん遅くなる足を、ぴたりと止める。

「……どういう意味?」
「あなたの身代わりなんて、笑里(えみり)はなりたくない!」

 振り返ったとたん、バシャッと顔になにかが飛んできた。

 身がまえる余裕もなく、全身を冷たい感触が襲う。大雨に降られたみたいに、スカートからポタポタと水滴が落ちていく。

 ……水?
 いや、少ししょっぱいから塩水だ。

「いきなり何するの?!」
「お清め。これでも足りないくらい。よそ者は、大人しく家にこもってなさいよ」

 こんなの平気。天気が良いし、歩いていたらすぐ乾くから。

 それよりつらいのは、周りにいた生徒たち。手を差しのべて欲しいわけじゃない。でも、同じような白い目で見ないで。
「お前の居場所はないんだ」って、言われているみたいだから。