ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

「君、誰?」
「えっと、樹里……と言います」

 戸惑いながら答えると、その人はじっと私の目をのぞき込んでくる。
 近くで見ると、綺麗な顔立ちをしているのがよく分かる。身長も高くて、モデルさんみたい。

「もしかして、噂の転校生?」

 噂、というのが気になるけど、私は小さくうなずく。

「俺は3年のレイ。よろしく」

 落ち着いた雰囲気が、やっぱりルキくんと似ている。3年生にお兄さんがいると言っていたから、たぶん間違いない。

 こんなところで、そろって授業をサボるなんて……いいのかなぁ。

 本を拾おうとしゃがみ込んだとき、背中まで伸びた私の黒髪を、レイ先輩がなでるように触った。

「甘いフルーツの匂いがする」
「……えっ?」

 指はそのまま背中へと下りて、腰にキュッと手が回される。顔が近付いて、高い鼻がちょんと首に触れた。

「や、やめてッ!」

 驚いたのと怖いので、レイ先輩をドンッと押す。はずみで、尻もちをついた。

 今、何をしようとしたの?

 押し飛ばしたことを怒っているのか、レイ先輩の瞳が(するど)くなった。冷たい氷のような目は、私をとらえて離さない。

 あれ、体が動かない?
 まるで、金縛りに合っているみたいに、指先すらびくともしない。

 その時、図書室のドアが勢いよく開いた。