ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 大きく叫び声をあげて、もだえる。
 胸が焼けて、張り裂けそうだ。

「……ジュリ!」

 心配そうにするルキくんの腕をふり払って、つたない足を踏み出す。

 体が勝手に、ドラレス伯爵へ向かっていく。

「彼女に何をした!」
「何もしていない。小娘は、自分の意思で動いているのだ」

 自分の意思なんかじゃ……ない。
 やめて、腕が言うことを聞かない。

 操られるように、ドラレス伯爵の持つ剣を奪うと、私の視線はゆったりとルキくんをとらえた。

 戸惑う表情のルキくんに、少しずつ近づいて行く。

 何をしようとしているのか、ひしひしと伝わってくる。このまま進んではいけないと分かっているのに、止められない。

 お願い、ルキくん逃げて!

「その剣の持ち主は、かつて女神と呼ばれた者。これは女神の体の一部から生まれたと言われている」
「我々黒呪団を封印した恐るべき女。またの名を……」

 スゥと息を吸うと、乱れていた呼吸が落ち着きを取り戻す。


「ーーリヴィだ」

 魂が剣に吸い込まれるように、私はその名を口にした。