ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 不思議そうに首をかしげるナチと、特に気にしていなさそうなドラレス伯爵。

「ルキくんッ、大丈夫? また毒を」

 慌てて駆け寄る私の手を、大丈夫と優しく止めた。

 黒くアザのようになった部分に手を当てると、色が薄くなっていく。
 浅い呼吸も、少しずつ落ち着きを取り戻してきた。

「耐性が出来ていたらしい。すぐに動けるようになるよ」
「……よかった」
「……解毒(げどく)した? どうやって!」

 チッと舌打ちするナチが、こちらへ目掛けて飛んでくる。あっと思ったときには、すぐ上にいた。

 早すぎて、避けられない!
 ルキくんの体は、まだ完全ではないのに!

 まばたきをした次の瞬間には、2人が宙を舞って掴み合っていた。

「ドラレス伯爵の猛毒が効かないとは、生意気だな。気に入らない」

 コウモリのように逆さになり、天井を交差して駆け走る。

「黒呪団だろうと、伯爵だろうが関係ない。目の前のものを守るために、戦うだけだ」

 2人の気が高まったそのとき、空気にピシッとヒビが入った。手をたたく音だ。