ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

「1人を2人で、しかもうしろから襲うなんて卑怯だ!」

 ガシャンガシャンと暴れながら、となりに顔を向けた。悪びれることなく、ドラレス伯爵が私のあごに触れて言う。

「この世界は、どんなことをしても勝者が全て。生き残れない者は、ただの敗者なのだよ」

 美しく憎らしい顔が近付く。ふんっと顔を背けて、あごの手をふり払った。

 気付くと、ルキくんの背中が闇のように真っ黒に染まっている。黒ずくめの女から、毒を受けたときと同じだ。

「ドラレス様の毒は進行が速い。すでに、背中と腕の感覚がないはずだ。じきに心臓へ到達する」

 うずくまるルキくんから離れて、ナチがこちらへ飛んできた瞬間、ぱらりと繋がれていたくさりが切れた。

 ほんの一瞬だけ手を動かすのが見えていたから、おそらくルキくんだ。

 アザだらけになった手首を押さえながら、必死に走る。

「アイツ……毒がまわっているはずなのに、なぜ動かせた?」