ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

「これはこれは、黒羽家のルキじゃないか。元気そうでなにより」

 長い髪をうしろでまとめて、にこやかに笑うその人は、品の良い身なりをしている。

「ドラレス伯爵(はくしゃく)、お久しぶりです」

 頭を下げるルキくんの口調から、地位が高い人物なのだと認識した。

 ドラレス伯爵と呼ばれる人物からは、すさまじいオーラを感じる。鋭く赤い瞳、とがった耳はまるで門で見た悪魔のようだ。

 じろりと、視線がこちらへ向く。

「その小娘は、人間だな?」

 とっさにルキくんの背中へ隠れて、乱れる呼吸をしずめる。

「これは夕食の香りか? いや、そちらから匂う。是非とも欲しい」

 そう手をぐっと掴むようにして引くと、体がぶわっと浮いて、あっという間にドラレス伯爵の腕の中にいた。

「ーージュリッ!」
「動くな!」

 三日月の男が手のひらを向けて、ルキくんの動きを止める。
 一連の行動が早すぎて、なにも反応出来なかった。

 くっと歯を食いしばるルキくんが、2人をにらみつける。