ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

「ルキが今、どこで何してるか聞かないの?」

 金色の髪をサラッとなびかせて、いつになく真剣な顔をする。

 だから少し、胸の音が速くなった。不安や恐怖、良くないことばかりを想像して。

「教えて……くれるの?」
「危険なところにいるって言ったら、どうする? ここで待ってる?」

 ある程度予想はしていたけど、続ける言葉が出てこない。

 また足手まといになるくらいなら、大人しく待っていた方がーー。

「信じて待つのもいいけど、ほんとに帰って来れるかな」

 風が吹き抜けるように、ノエルくんは行ってしまった。


「……待って!」

 あわてて追いかけると、ふり向こうとしないノエルくんの服を引っ張る。

「連れてって」

 それでも反応がないから、もう一度強く言った。

 黒ずくめの人と戦っていたとき、怯えてばかりで動けなかった。守ってもらうばかりで、なにも出来なかった。

 やっとノエルくんがこっちを見て、口を開く。

「ルキが危ないってことは、ジュリちゃんも危険なんだよ? さっきのモラナの話、聞いてたでしょ?」

 ーー自分の行動に責任を持つのじゃ。あとで後悔しても遅いからのう。

「……もちろん、分かってる」
「今回は、だだの吸血鬼が相手じゃないからね。その覚悟、出来てる?」

 また震え上がって、何も出来ないかもしれない。でも、黙って待っているだけも違う気がする。

 今、自分なりに出来ることを選択をしたい。

「後悔したくないから。だから、行きたい」
「じゃあ見せてよ。キミが言う、好きな人を想う力ってやつ」

 マントを広げて、くるりと包み込むように私を囲う。
 冷たい空気のなか、そっと閉じたまぶたは、強い希望にあふれていた。