ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

「じゃ、続きしよっか」

 返事をするより先に、さらりとした髪が首に埋まる。

「えっ、ちょっと……待って」

 引っ付いた体を離そうとするけど、そのままかぷりと噛みつかれた。猫がじゃれて甘噛みしている感覚で、痛くはない。

 ーーでも。
「や、やっぱり……だめ」

 そわそわする心臓から、ノエルくんを押し離した。

 本当にその気があったのか、抱き寄せられていた体は、いとも簡単に遠ざかった。

「ちぇっ、つまんないのー。まあいいや。ルキに怒られそうだし」

 腰を上げて窓の前に立つと、ノエルくんがカーテンを少し開ける。

 もしかして、試されてた?
 吸血鬼になる覚悟なんて、初めからないって分かってたのかな。迷ってること、勘づかれていた。

 ノエルくんは、いつでも薄暗い空を見上げて、どこか寂しげな遠い目をしている。

 吸血鬼に感情はない。
 さっきはそう言っていたけど、この瞳は何を意味しているんだろう。