ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 もし吸血鬼になったら、どうなるんだろう。
 みんなのように目の色がキレイになって、牙が生えるの?

 この姿のままで、永遠にルキくんと一緒にいられるのかな。

 それほど悪くは、ないのかもしれない。

 薄い皮ふに歯が突き立てられて、だんだん鼓動が速くなる。

 お姉ちゃん、おばあちゃん、それからお父さんの顔が浮かんで、みんなが笑って私を見ている。

 歳を重ねて、みんながいなくなったとき、私だけが世界に取り残されていた。

 吸血鬼の世界で生きるって、そういうことだ。

 ぐっと歯を食いしばったとき、小刻みに震える肩が引き離される。


「……やーめた」

 緊張の糸が切れた。正直、ほっとしている。

 もう少しで、噛まれるところだった。どうして抵抗しなかったのか、たまに自分が恐ろしくなる。

「さっきから視線が気になってね。盗み聞きなんて悪趣味だなぁー」

 ノエルくんが、閉まっているドアへ向かって笑いかけた。