ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

「そいつに向けて、早くッ!」

 この狼の群れの中にいるんだ。助けに来てくれた。

 腕を押さえながら、となりのルキくんが立ち上がる。反対の手にまで、黒いアザが出来ていた。なんとかしないと、毒にやられてしまう。

 心臓が尋常(じんじょう)じゃないくらい早くなって、冷静さはない。

 わななく手を耳のところで一度落ち着かせて、慎重にピアスを外した。

 大丈夫、みんながいる。今、私がするべきことはーー。


 思い切り腕を反り上げると、黒ずくめの女を目掛けてピアスを投げた。

 お願い、どうか届いて!

 小さな結晶のカケラは回転するたびに膨らみを増し、銃弾のようになって黒い結界にめり込んでいく。

「……くっ……おのれぇ!」

 手をかざす黒ずくめに向かって、徐々に銃弾が幕を裂き、突き抜ける。

 黒い結界がパッと消えたとたん、ドスッと鈍い音を立てて、黒ずくめの胸に弾が打ち込まれた。