ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 気付いたら抱きついていた。
 ドラゴンの動きは止まり、黒ずくめの女が後ろへと飛んだ。

 やっぱり、優希ちゃんの姿を傷付けられない。

「……どうして?」

 低い声が耳元で響く。

 私のせいで、仕留め損ねてしまった。
 一刻を争う事態なのに、これでは足手まといになる。

 ガシャーンと大きな音がして、屋敷の窓ガラスが飛び散った。

 何ごとかと足をすくめていると、破片(はへん)と一緒にたくさんの狼たちが飛び出してくる。

「な、なぜウルフがパラムシアに?!」

 次々と飛び掛かる狼たちを、黒ずくめの女が黒い結界で払い飛ばしていく。

 何度跳ねても、狼たちの攻撃は止まらない。

「なんだ、これは! ええいッ、離れろーーッ!」

 左右に手を広げて、結界を強めている。
 足が震えて動けない。役に立てるなんて、どの口が言っていたの。

「ジュリーーッ! 耳飾りだ! 耳飾りを投げろ!」

 どこからか、イリヤくんの声が聞こえた気がした。