ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

 苦しそうにしながら、おもむろに爪を引き抜く。息が上がっている。

 服をまくし上げると、傷のまわりが黒く変色してきていた。

「……毒だ。あいつの爪には毒が含まれてる」

 腕を強く押さえながら、ルキくんは呼吸を整えようとしている。

 広がる前に、なんとかしないと。

 皮膚を力いっぱいつまみ、唇を押し当てる。いきおいよく吸い上げて、ペッと毒を吐く。

「小嶺、なにを……!」

 何度か繰り返しても、変色した部分は変わらない。

「ヒッヒッヒ、そんなことで毒を取り除けるわけがないだろう? そのうち、そやつは毒に侵されて動けなくなる。口に含んだそちも……」

 言いかけて、黒ずくめの顔色が変わった。

「こちの猛毒(もうどく)に触れたというのに、なぜ何も起こらぬ? 人間であれば、一瞬だろうに……まさか」

 ひるんだ隙を見て、ルキくんの影からドラゴンが現れた。

 ものすごいいきおいで飛びながら、黒ずくめの女へ向かっていく。

 頭を飲み込もうと牙を剥いたところで、優希ちゃんがこちらに笑いかけた気がした。

「……待って!」