ブラッド★プリンス〜吸血鬼と女神の秘密〜

これは、優希ちゃんじゃない。

 でも、もし体を乗っ取られて操られてるのだとしたら……。傷を負ったら、優希ちゃんはどうなっちゃうの?

 考えれば考えるほど、体が動かない。

「……ふざけるな」

 ドラゴンがうねりながら飛び出してくるのを、黒ずくめの女がマントを揺らして軽やかにかわしていく。

 その動きは、追いかけっこをしているみたいだ。

 すとんと木の上に立ち、黒ずくめの女がチッと舌打ちする。

「しつこいねぇ。ネチッこい男は嫌われるぞ?」

 バッと手を振りかざすと、刃のような爪がザザザッと地面へ突き刺さった。

 ルキくんの左頬から、ツーと血が流れ出す。

「ーールキくんッ!」

 駆け寄ろうとする私に「来るなッ!」と、言葉を浴びせる。

 その間にも、シュパッと放たれる赤い刃は、まるでマジシャンがトランプを操るように見える。

 避けるルキくんの腕に、ドスッと一本の爪が突き刺さった。

「ルキくんッ!」