「すでに始まっておるのかもしれん」
水晶玉から手を離すと、傷のなくなった手を胸の前でぐっと握る。なんだか、少し疲れた。
「ジュリは違った。水晶は黒くにごらなかった」
安心したのか、ガッカリしているのか。モラナは深くため息を吐く。
「モラナ、話が違う。血の香りを弱める薬じゃなかったのか? まさか、彼女に飲ませたのは……」
ルキくんの荒っぽくなる声に被せて、また言葉がナレーションとして頭の中へ入り込む。
純血を持つと思われる者に、特殊な薬を飲ませる。
その者が純血でなければ、何も起こらない。しかし、その者が純血だった場合、赤く燃え尽きるであろう。
「何それ……意味分かんない。そんな危険なもの飲ませたの? 死ぬかもしれないのに、なんでそんなこと出来るの?!」
モラナの腕を掴んで、体を揺さぶる。黙ったままで、視線を合わせてくれない。
私の命より、村の平和が大切なんだ。
「……君の血は、他の人間と違った。禁断の書物にも触れた。特殊だから、試したのか」
「ここには解毒剤もあるからの」
「それじゃあ、最初から……確かめるためにここへ連れて来たって言うの?」
「そう怒るな。これは無実の証明でもあったんじゃよ。予言では今宵、赤い月が現れる」
おもむろに開けたカーテンから、薄暗い空が見えた。しだいに闇へと変わって、ほのかな光が顔を出し始める。
水晶玉から手を離すと、傷のなくなった手を胸の前でぐっと握る。なんだか、少し疲れた。
「ジュリは違った。水晶は黒くにごらなかった」
安心したのか、ガッカリしているのか。モラナは深くため息を吐く。
「モラナ、話が違う。血の香りを弱める薬じゃなかったのか? まさか、彼女に飲ませたのは……」
ルキくんの荒っぽくなる声に被せて、また言葉がナレーションとして頭の中へ入り込む。
純血を持つと思われる者に、特殊な薬を飲ませる。
その者が純血でなければ、何も起こらない。しかし、その者が純血だった場合、赤く燃え尽きるであろう。
「何それ……意味分かんない。そんな危険なもの飲ませたの? 死ぬかもしれないのに、なんでそんなこと出来るの?!」
モラナの腕を掴んで、体を揺さぶる。黙ったままで、視線を合わせてくれない。
私の命より、村の平和が大切なんだ。
「……君の血は、他の人間と違った。禁断の書物にも触れた。特殊だから、試したのか」
「ここには解毒剤もあるからの」
「それじゃあ、最初から……確かめるためにここへ連れて来たって言うの?」
「そう怒るな。これは無実の証明でもあったんじゃよ。予言では今宵、赤い月が現れる」
おもむろに開けたカーテンから、薄暗い空が見えた。しだいに闇へと変わって、ほのかな光が顔を出し始める。



