「わぁっ!ハヤセっ!危ない……!!」
「大丈夫ですエマお嬢様。絶対に俺から離れないように」
「う、うんっ」
え、でもそいつ木の棒持ってるよ……!?
大丈夫…?
ハヤセ素手だよ?
「ど、退けっ!!痛い目に遭いたいのか……!?」
男はぶんぶんと右に左に暴れるようにして木の棒を振り回している。
だけど一切怯えることないSランク執事の威厳に、ぐぬぬっと引きそうになったけど。
それでもここを通らなければ門には行けないわけで。
だけどハヤセは真顔で立っている。
「それ置いてさっさと帰れ」
「っ、俺を逃がすのか……!?」
「あぁ。大人しく荷物置くならな」
冷静に会話してる……!
ええっ、ハヤセ怖くないの…?
だって不審者だよ…?
確かに中身はすごく弱そうなおじさんだけど……。
「結局このままだと捕まって処分されるだけだ。だったらまだ荷物置いて逃げれたほうがマシだろ」
「……くそっ!」
男は手にしていたスクールバッグを地面に置いた。
ここはお嬢様学校だからそういう危険は付き物、だけどセキュリティは万全のはずなのにどうしてこいつは入ってこれたの…。



