俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





「エマお嬢様、俺たちの絆はこれから作られていくんですよ」



わたしが思っていたことを言葉にしてくれた今、ハヤセとわたしは1ミリだってすれ違いが無いってこと。

同じものを見て、同じ時間を分けあって、同じ気持ちを感じている。



「それはきっと誰よりも負けないものになるはずです」


「うんっ!!えいえいおーだよ!ハヤセ!」


「はい。お嬢様、せーの、」



えいえいっ、おーーー!!

と、ふたつのこぶしが晴れた空に上がった。


涼しげな噴水、秋も終わりが近づく季節。
ゆっくり流れる2人の時間。

この学校に来て良かった───って、初めて思った瞬間だった。



「まてーーーっ!!侵入者だ!!誰か捕まえろ!!俺のお嬢様の荷物が奪われた……!!」



えっ、えっ!?

そんな平和な場所と時間にあってはならない叫び声が聞こえて。



「そいつだ…っ!頼む、捕まえてくれ……!」



すぐに戦闘体勢に入ったハヤセ。

わたしを背中に隠すようにして、向かってくる男を見据えた。


サングラスをして帽子を被って、マスク。
そんなThe・不審者が目の前から走ってくる。