嘘を知らない目だもん。

それに駆け引きをしないから、素直に親切や笑顔を受け止めてくれる。

それで逆に癒してもくれる。



「わたし生まれ変わったら動物になる!猫がいいな、それでいろんなところに行くの」


「…あなたの目には何者だって敵わない」


「え…?」


「いいえ、そろそろお時間ですお嬢様」



今までの執事は、わたしがこうして毎日の日課を行っていると。

しゃがんだわたしを見下ろすように必ずうしろに立っていた。

その執事がどんな顔をしているかなんて見たくもないから、猫の綺麗な目を見て誤魔化して。


でも今もハヤセは一緒になってしゃがんでくれて、タキシードが地面に付いたとしてもお構い無し。



「エマお嬢様、今日の昼食はフォアグラを使ったビュッフェでございます」


「えっ!本当に!?じゃあ食べ放題!?」


「ええ、おかわり自由ですよ」


「やったーーっ!」



サッと立ち上がって跳ねるように校舎へ。

斜めうしろを歩くSランク執事。



「なので授業のほうも頑張りましょうね」


「もちろんっ!えいえいおーー!ほらハヤセもっ」


「…ふっ、えいえいおー」



本当に彼が望んでわたしの執事になったというのなら、なんて物好きな執事さんなんだろう…。

文句なんか受け付けないぞ、ハヤセ。