スッと戻って執事モード。

だけどその瞳は変わっていないこと、わたししか知らない秘密だ。



「これはこれは失礼いたしました。俺の愛するエマお嬢様を貶されたものですからつい」



サラッと放ってしまったその言葉に、もちろん周りの女子生徒は悲鳴のような歓声を上げた。


執事とお嬢様の恋愛は暗黙のタブー。


だけどそれすらも「知らねえよ」と言うように、だってハヤセはわたしを立派な花嫁にする気は更々ないらしいから。



「あっ!おいっ!待たんか……!!柊 エマの執事を降ろすぞ!!」


「あ”?」


「ひっ…!」



すっごい低い声だよハヤセ、今のハヤセの声だよ……ね…?

すると今度、そこに追い討ちをかけるように不敵な笑みを落とした。



「2度と今のようなふざけたことを言わないように。俺の言うとおりにしてくれますね?学院長」


「は、はいぃぃ…」



とうとうわたしの執事さんは学院長まで手懐けてしまったらしいのです。

明日からの学校生活はいったいぜんたいどうなっちゃうのでしょうか…。


きっと今日よりもっと楽しい日々が始まる……と、思うことにします。



「ちなみにエマお嬢様、今日のご褒美のことですが」


「あっ!そうだ!ご褒美っ!」



なでなで?
それともいっぱいぎゅーってしてくれる?

想像するだけでムフフな気持ちだ。