俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





あーっ、またその台詞!

破壊神の次の異名は「疫病神(やくびょうがみ)」だなんて…。

次から次に憎まれ口ばかり言ってくるんだから…!!



「ハヤセ、あの海藻被った人やだ…。疫病神って言ってくる…」



さっきの猫ちゃんみたいに頬をすり寄せて甘える。

へへん、意地っ張りをやめちゃったエマはすごくすごく弱いけど強いのだ。


だってわたし最近は勉強も頑張ってるんだよ?

テストだって補習は免れたし、茶道もギリギリ合格をもらってる。

もちろんあとで花瓶のお片付けもするし、割っちゃったことも謝るもん…。



「エマお嬢様、割れた花瓶はあとで一緒に接着剤でくっつけましょう」


「んっ、」



くいっと引き寄せられたことで、おでこに柔らかい感触がふれた。


それは周りから見れば必然的に合わさったようなものだから、「キスをした」にはならない可愛い行為。

だから見守る生徒だって騒がないわけで。



「まったくスタ女の価値を下げやがって……!!」


「知らねえよ。花瓶と命だったらどっちが大切かなんて考えなくても分かるだろ、海藻ジジイ」


「んな…っ!海藻ジジイとはなんだ…!!誰にそんな口を聞いているのか分かってるのか……!?」



よし来たハヤセの反撃開始っ!

わたしのことになると容赦なく変貌してしまうのが早瀬 真冬だ。



「お前こそ毎度毎度のこと馬鹿にしやがって。なにが疫病神だ、面白くねえんだよ」


「なっ、生意気だぞ…!!!口を慎まんか!!」