俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





でもまさか俺もエマが熱出すとは思わなかったし。

いつも元気ハツラツ栄養ドリンクみたいな性格してる子が熱に負けるとは。


それに夜中はあまりドタバタしたくなったから早朝に呼んだってだけで。

朝には下がるだろうと思ってたってのもあるけど、まさかの悪化するものだから。



「お前…本当にエマお嬢様と結婚する気なのか」



その質問は2回目。

濡らしたタオルから冷えピタに取り替えたSランク執事は、ベッド脇に座りながらも俺へ問いかけてきた。


その感情は明らかに“結婚なんかしないでくれ”ってことだろう。

前回からこの男は何も変わっていないみたいだ。



「考えてないねそんなの」


「…じゃあしないのか」


「それも考えてない」



ようやく早瀬 真冬は俺を見つめてきた。


なんでエマの執事になったんだ、とか。
なんでいつの間に更生してんだよ、とか。

聞きたいことたくさんあるはずだけど、この男にとっての一番はやっぱりそれらしいのだ。



「ふつーに好きなんだよ、ふつーに。だけど叶うとは限らないだろ?」



だから今の答え方がいちばん正しいものだった。