俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





うん、今さら気づいたの…?

でもなんで今のこの状況で気づいて冷静につぶやいてるの……!!



「あ、どうしよ絆創膏持ってないや…」


「───これを使え」



わたしに跪いた早乙女の背後、スッと差し出された絆創膏。



「ありがと早瀬さん……って、なんで?」



受け取ったはずなのに受け取れない。

それは絆創膏を持つ男が絆創膏を手放さないからだ。


ぐいぐいと無言の引っ張り合いが続いてる…。



「俺がやる」


「いやエマの執事は俺だから」


「お前は見習いみたいなものだろ。俺はSランクだ」



うわわっ、まさかのここでSランクを武器にしてくるとは。

自分の立場を上手く使ってる…。


今までならわたしの婚約者である御曹司だからこそ、彼の前では「早乙女様」って呼んでたのに。



「はいはいお願いしますよSランクさん。でも俺の大事なお嬢様だから優しくしろよ」


「…当たり前だ」



え、本当にハヤセがやってくれるの…?

でもいつもわたしに絆創膏を貼ってくれるのはあなただった。



「っ、」



変わらない優しさだ。
傷口に触れず、スムーズに貼られてゆく。

こんなの前に頬にキスされて抱きしめられたことを思い出しちゃうよ…。