「───あ、そういえばエマ。お前さっきの体育で転んでなかった?」
早乙女の言葉にハッと反応したのはハヤセだった。
大人しくお姉ちゃんと並んで昼食を取るわたしの膝を思い出したように、早乙女は首を傾げて見つめてくる。
───…あ、そういえばそうだった。
自分でも忘れちゃってたけど、少し擦り傷ができてたんだった。
「うん。でももう大丈夫!」
「いや、かなり豪快に転んでただろ」
それは体育のマラソン。
クラスメイトとかさばって足が引っ掛かっちゃって、ドテーンって。
「これセクハラじゃないんで騒がないようにお願いしますよエマお嬢様」
「えっ、わ…っ!」
少し強引に触れてくる新しい執事。
タメ口だったり敬語だったり、うぅ…なんかもうぜんぜん慣れないなぁ。
そんな男は容赦なくわたしのニーハイソックスを下ろした。
「ひゃぅ…っ!もうっ!せめて声かけてってば!」
「あーほら、普通に血でてんじゃん。擦り傷になってるし」
……聞いてないし。
ここはまだBランク止まりの執事のほうがちゃんとしてる。
「平気っ!こんなの放っておけば治っちゃうのに」
「駄目。俺の大好きな女の子の神聖な脚だから」



