「ズルいよハヤセ、ずるい…」
そう言いながら目一杯からだを寄せる。
屈み込むようにしてまで腕を回してくれるハヤセの考えてることが分からない…。
「どうしてお姉ちゃんをお姫様抱っこするの…っ」
「…嫌、でしたか?」
「うんっ、嫌だった…っ」
「どうして嫌だったのですか?」
っ……、
どうしてって…逆にどうしてあなたはそんなにも飄々としてしまえるの。
お姉ちゃんは確かに可愛くて人気者だけど、ハヤセは他とは違うと思ってたのに。
こんなわたしなんかに優しくしてくれるんだから。
今だって躊躇うことなく抱きしめてくれてるんだから…。
「俺のことが嫌いですか?」
「…嫌い」
「…きらい、ですか?」
「うん…っ」
お姉ちゃんに簡単に乗り換えちゃう執事なんて嫌い。
お姉ちゃんに触る執事なんて、お姉ちゃんと仲良さそうに話す執事なんて。
「だったらどうして離してくれないのですか?」
「っ、それは、ハヤセが…離さないからだよ、」
「では俺が離せば…離してしまいますか?」



