俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





だからわたしの執事になってくれたの…?
あなたもやっぱりお姉ちゃんがいいの…?


お姉ちゃんがいる先に、わたしを見るの…?


みんなそうだった。
わたしの前にはいつもお姉ちゃんがいる。

それは仕方ない、しょうがないって思って生きてたから今だって平気。



「でもお姉ちゃんとハヤセが結婚したら、ハヤセわたしの義理のお兄ちゃんってことになるねっ!」


「…それが嫌だったから俺は執事になったんだろうが」



だ、だろうがは怖いよハヤセ……。

つぶやかれた声は一瞬だけ俺様ハヤセの登場だ。



「───わ…っ!」



ひょいっと抱えられた。

ソファー?ベッド?
いいや、ダイニングテーブルだ。


そんな行儀悪いことをSランク執事さんがしちゃうんだもん、笑っちゃう。

テーブル上に乗せられて、そのまま両手を掴むように無理やりにも目を合わせてくる。



「確かに俺とアリサ様は許嫁でした」



……やっぱりそうなんだ。

うん、お似合いだよすごく。



「俺の家は代々執事として仕える家系の中でも有名な家柄で、だけど俺は執事にはなりたくなかったんです」


「…うん、いつも泣いてばかりだったって」


「はい。だったらと、少しだけ親睦のあった柊家の婿養子にするかの2択でした。
…でも俺はそれすらも嫌で、本当は普通に生きたかった」