俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





「アリサさんは早乙女 燐とあなたのことだけが記憶から消えています」



どんな気持ちで説明してるの、この白衣野郎は。

それって、「わたしのことが嫌いなんですよ」って教えられてるようなものだ。


でも早乙女の名前が出たら納得だ。

やっぱりお姉ちゃんも彼のことは嫌いだったんだね…。



「わ、わたしのこと……嫌いだったの…?」


「…そこまで直接的かは分かりませんが、なにか心に思うところがあったんでしょうね」



あぁ、これはわたしにとって都合の悪いことだけど。

お姉ちゃんにとっては都合の良い記憶障害だってことだ。


だって嫌いな存在を、嫌な思い出を忘れちゃえてるんだから。



「真冬くんはいないの?」



すると、お姉ちゃんの口からありえない人の名前が出た。

どうしてお姉ちゃんが知ってるの…?
それとも同じ名前ってだけ…?



「真冬くんに会いたいわ」


「…まふゆくんって、」


「早瀬 真冬くん。私の許嫁なの」



いいな…ずけ……?

どういうこと、全然わからない。
これも記憶障害のひとつ…?


だってお姉ちゃんの婚約者は可哀想な話だけど、あの最低な金髪男だよ…?