「柊さん、ミシンの用意をするだけで授業終わってたら意味ないって前回にも言ったわよね?」


「……はい、でもこれボビンの位置が、」


「言い訳はいらないの。これじゃあ未来の旦那様のスーツが破れたときはどうやって縫うの?」


「それはもちろん手縫いでっ!」



先生のため息が教室に響いた。

1クラス15人の教室は普通の学校でいえば少なめ。

だけど1人につき1執事が付くから、結局は全員で30人になる平均的な数。



「えーっと、ここに糸を通してセットして……」



ガゴンッ。


なんかヤバい音がした。

え、あの……大切そうな部品が外れちゃったんですけど…。



「せ、先生…」


「はあーーー…」



そんなあらかさまにため息吐かなくても…。

頭抱えてやれやれって首を振らなくても…。



「…あなたは手縫いをしていなさい」


「はい…。ごめんなさい…」



間違いない、わたしはミシンを壊してしまったらしいのだ。

どうやら破壊神は破壊神として期待を裏切らずに授業を受けているらしい。