「柊璃くんの先輩だからね
私が背中ばーんって叩いて前に進ませる。そしたら今度の大会でベスト、出るよね
マネージャーに大仕事任せるならそれくらいしなきゃね?
ギブアンドテイクだよ、柊璃くん」




はは、と今日初めて声を出して笑ったのを聞けたのは駅まであと少しのところ。




私は電車、柊璃くんはいつもなら学校からバスだけど、今日は私と話すために駅からバスで帰るらしい。






「そうですね、明日から楽しみです」




「明日?」「そう明日」「…考えとく」「その分返します」





駅についてお互い立ち止まる。






さっきまで暗くて顔もまともに見えなかったけど、駅の明かりで柊璃くんの顔が見えると今更緊張してくる。






好きな人と一緒に帰る、なんて初めてで、それがどんな形であれ嬉しいものは嬉しい。






夢にも出てきそう。それもいいな。





「――じゃあまた明日。暗いから気をつけてね」



「桃子さんのほうでしょそれ。
変な奴いたら奇声あげればあっちから逃げていきますから、参考に」



「ア、ウンアリガトウ」



「冗談です。奇声じゃなくて、なんかあったら連絡してください」







私はこの日、思った通りの夢を見た。