「…ちーくん、凛ちゃん!私、早退する!」

涙を制服で拭いて急いで立ち上がる。

「え…真彩!?」

「今…ちーくんって…」

「ごめん、先生に伝えてて!」

「っ…ちょっと、待てよっ…」

私がカバンを持って廊下を出るとちーくんも追いかけてくる。

「待てって!」

バッと腕を掴まれてその場に止まる。

「なに…?お願い、行かなきゃ…」

「…決めたのか?自分に気持ちを…」

「…うん。」

私はちーくんの目を見る。

「欲張ることにした!」

ニコッと笑ってそう言うと、ちーくんは私の肩を掴んで私が向かう方向に体を向けてくれた。

「よしっ。行ってこい!」

かるく背中を押されてその勢いで一歩踏み出す。

そのまま私は止まらず走る。

ありがと、ちーくん…背中を押してくれて。