誤解されるのは慣れているとはいえ、自分の好きな人に真っ向から勘違いされるとさすがに辛い。


「私と虹磨さんはなんでもないよ! お互いになんとも思ってないの!」

「そんなこと言って、ほんとは好きなんでしょ?」

「違う違う! 虹磨さんと葉山くんなら、私は葉山くんのほうがいいな」


 自分なりにかなりがんばった発言をした。これはもう告白しているのも同じだもの。
 恥ずかしくてうつむくと、彼も照れたようにハニかんでくれた。


「ありがとう。でも、俺じゃ虹磨さんには勝てないから。あんなイケメンがライバルとか、最初から無理だもんな」


 だから違うって言ってるのに。虹磨さんは関係ないのに。
 もっとちゃんと聞いてほしい。
 私が好きなのは虹磨さんじゃなくて、あなたなのだと伝えているのに……

 だけど、遠回しにフラれたのかもしれないと思ったら、それ以上なにも言えなくなってしまった。

 虹磨さんと張り合ってまで私と付き合う気などないということだし、私を好きなわけでもない、と理解した。

 ここで引かなかったら惨めになるような気がして、私は彼への思いを封印した。
 私だってたいして好きでもなかったと、自分の中で言い訳を無理やり並べながら。