もっともっと、虹磨さんの魅力的な部分は語りつくせないくらいたくさんある。仲間思いでやさしいところとか。
 自分でイケメンだと言うわりに、全然図に乗っていないところもそうだ。

 虹磨さんを見上げると、少し照れたようにハニかんでいた。
 こんな顔もするんだなと見惚れていると、私の顔を隠すようにやさしく抱きしめられた。


「俺は、絢音の歌声に惹かれた」

「え?!」

「だから探したんだ。あの動画の声に惚れたから。実際に会ってみたらこんなにかわいくて困ってる」


 少し体が離れて再び視線が合うと、虹磨さんが愛しむような感情を込めて私を見つめていた。
 惚れたとかかわいいなんて言葉をもらえるとは思わなかったから、うれしすぎて、ドキドキが止まらなくて死にそうだ。


「自分のスタッフと付き合うのはまずいってわかってるのに、俺は絢音を手に入れたい」

「私も、虹磨さんのそばにいたいです。大好きだから」

「……俺も」


 最後に耳元で囁かれると、ギュッと掴まれたように胸の奥が痛くなった。
 これだけでも十分幸せなのに、彼は照れながら「ちゃんと言葉にしないとな」と、私の頬に手を触れる。


「絢音が好きだ」


 言葉を言い終えた瞬間、虹磨さんが素早く私に口づけた。
 しっとりと濡れた彼の唇が、私の唇を何度も()む。幸せだと伝えようとしたが、絶え間ないキスで言わせてもらえなかった。


 またイケメンを好きになってしまい、懲りないなぁと自分でも思う。
 だけどこの恋は、今までとは違う気がしている。

 これからもずっと彼のそばにいられる。そのことだけで幸せを感じているから。



――― Fin.