恥ずかしくて思わず両手を頬に当てる私と、怒りの矛先を失った美和さん。今の私たちは傍から見たら奇妙だろう。
そうこうしていると社長室の扉が開き、そこから虹磨さんがいつものように上半身だけを覗かせる。
「堤! その仕事、急ぎだからな」
一方的にそう告げて、虹磨さんは再び社長室に引っ込んでしまった。
このタイミングでその発言は……と私が感じたのだから、美和さんも同じだ。
「やっぱり一発蹴ってくる!!」
「美和さん、堪えてください!!」
美和さんには申し訳ないが笑ってしまった。私はふたりのこんなやり取りが大好きだ。ここに就職出来たら良かったのにな。
それからは虹磨さんを初め、全体的に会社の仕事が忙しくなり、私たちに特段の変化はなく十日が過ぎた。
あの海デートは夢だったのではないかと疑いたくなるほど虹磨さんは普通だ。
土曜日を迎え、仕事が休みだったので、久しぶりに円香の家に遊びに行った。
寄せ鍋を作ってふたりでそれをつつきながら語り合う。円香も今年の新入社員に対して不満があるらしく、遠慮なく愚痴をこぼしていた。
「うわぁ……マジで?」
虹磨さんに海に連れて行ってもらったことと、以前から動画の件がバレていたことを話したら、円香は想像していたより静かな反応だった。
そうこうしていると社長室の扉が開き、そこから虹磨さんがいつものように上半身だけを覗かせる。
「堤! その仕事、急ぎだからな」
一方的にそう告げて、虹磨さんは再び社長室に引っ込んでしまった。
このタイミングでその発言は……と私が感じたのだから、美和さんも同じだ。
「やっぱり一発蹴ってくる!!」
「美和さん、堪えてください!!」
美和さんには申し訳ないが笑ってしまった。私はふたりのこんなやり取りが大好きだ。ここに就職出来たら良かったのにな。
それからは虹磨さんを初め、全体的に会社の仕事が忙しくなり、私たちに特段の変化はなく十日が過ぎた。
あの海デートは夢だったのではないかと疑いたくなるほど虹磨さんは普通だ。
土曜日を迎え、仕事が休みだったので、久しぶりに円香の家に遊びに行った。
寄せ鍋を作ってふたりでそれをつつきながら語り合う。円香も今年の新入社員に対して不満があるらしく、遠慮なく愚痴をこぼしていた。
「うわぁ……マジで?」
虹磨さんに海に連れて行ってもらったことと、以前から動画の件がバレていたことを話したら、円香は想像していたより静かな反応だった。



